こんにちは。未熟な人妻 店長の別所です。
前回、自分へのご褒美を買った彼女のお話をしました。
あの日から数週間、彼女は以前とは見違えるほど明るくなっていました。
出勤すると自然に挨拶をして、待機室では他の女性たちと笑いながら話す。
そんな姿が当たり前になっていました。
そして、その日の出来事です。
夕方頃、彼女のスマホが鳴りました。
画面を見た瞬間、彼女の表情が少し変わったのを覚えています。
「ちょっと出てきます」
そう言って待機室を出ていきました。
・・・数分後。
戻ってきた彼女は、どこか複雑な顔をしていました。
嬉しそうにも見える。でも、少し困っているようにも見える。
「大丈夫ですか?」
そう聞くと、彼女は椅子に腰を下ろして言いました。
「実は…昼職の面接を受けた会社からでした」
私は思わず、「結果ですか?」と聞きました。
彼女は小さく頷きました。
「採用だそうです」
その瞬間、私も思わず笑顔になりました。
でも彼女は、なぜか浮かない顔をしていました。
「嬉しいはずなんです」「でも、なんだか怖くて」
当然です。
新しい環境へ飛び込むのは誰だって怖い。しかも彼女は、長い間自信を失っていたんです。
「失敗したらどうしよう」「続かなかったらどうしよう」
そんな気持ちが溢れていたのでしょう。
しばらく沈黙が続いたあと、彼女はぽつりと言いました。
「前だったら、きっと断ってました」
私は何も言わずに聞いていました。
「でも今は…挑戦したい気持ちがあるんです」
その言葉を聞いた瞬間、私は少し胸が熱くなりました。
数か月前、面接室で下を向いていた彼女。
『私なんか』
そう何度も口にしていた彼女。
その彼女が今、自分の未来のために悩んでいる。
逃げるためではなく、前に進むために悩んでいる。
それだけで十分だったんです。
帰り際、彼女はドアの前で振り返り、笑いながら言いました。
「店長、もう少しだけ悩ませてください」
その表情は、とても晴れやかでした。
人生を変える瞬間は、大きな出来事ではないのかもしれません。
一本の電話。たったそれだけ。
でもその電話は、彼女が新しい未来へ向かう扉をノックする音だったのです。
次回、第8話。彼女が出した答え。そして、店長の私が少しだけ寂しくなった日の話をお届けします。







