こんにちは。未熟な人妻の店長別所です。
前回のお話で、彼女のもとに一本の電話がかかってきました。
昼職の採用通知。喜ぶはずなのに、どこか不安そうな顔をしていた彼女。
そして、その答えを聞く日がやってきました。
その日、彼女は少し早めに事務所へ来ました。
いつものように挨拶をして、いつもの席に座る。でも、どこか空気が違う。
何かを決めた人の顔でした。私はあえて聞かずにいました。
本人の口から話してくれる気がしたからです。
しばらくして…彼女は水を一口飲み、静かに言いました。
「店長、決めました」
私は黙って頷きました。
「昼職、行ってみます」
その言葉は、とても自然でした。
迷いながらも、ちゃんと前を向いている声でした。
「正直、怖いです」
彼女はそう続けました。
「また失敗するかもしれないし、続かないかもしれない…」
少しだけ笑って言いました。
「でも、挑戦しないまま後悔する方が嫌なんです」
その瞬間。初めて面接に来た日の彼女の顔が浮かびました。
下を向いて。自信をなくして。"私なんか"そう言っていた彼女。
その彼女が今、未来に向かって歩こうとしている。それだけで十分でした。
私は言いました。
「うまくいかなくても大丈夫ですよ」
「また戻ってきてもいいですし」
「人生って、やり直しが何回あってもいいんです」
すると彼女は笑いながら、
「店長らしいですね」と言いました。
帰り際。
彼女は事務所のドアの前で立ち止まりました。
そして振り返り、
「ここで働かなかったら、たぶん今の私はなかったと思います」
そう言って深く頭を下げました。
私は少しだけ困ってしまいました。
感謝されるようなことをしたつもりはありません。
ただ、彼女が自分で立ち上がる姿を見守っていただけです。
ドアが閉まり。彼女の足音が遠ざかっていく。
その音を聞きながら、私は少しだけ寂しくなりました。
でもそれ以上に嬉しかった。
卒業していく人を見るのは、この仕事の一番のご褒美なのかもしれません。
私たちは、このお仕事を通じて様々な人と出会い、それぞれの人生を応援しています。
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